鉄の救世主Ⅲ(くろがねのメシアⅢ)

2011年のモガディシュ撤退以降、押され気味で補給にも事欠いていたアル・シャバブ。

この食糧強奪は何よりの成果だった。

戦いに明け暮れ、飢えに飢えていたアル・シャバブのメンバー達は、貪るように入手した食糧を口にした。

久し振りのまともな食事は体に染み渡るようだった。

輸送機急襲計画の成功を仲間同士で喜び合いながら、ソマリア暫定連邦政府らとの戦いに更なる決意を燃やす。

空腹が満たされる事で、戦意が高揚してくるようだった。

…しかし彼らは知らなかったのだ。

その戦意の高揚が、ただ空腹が満たされたという理由だけではない事を。

輸送機急襲計画はアメリカ軍に筒抜けであり、寧ろその輸送機の情報はアル・シャバブを誘き出す餌に過ぎなかったのだという事を。