鉄の救世主Ⅲ(くろがねのメシアⅢ)

このままでは国賊として、自分は軍法会議ものの犯罪者となってしまう。

習志野駐屯地司令は焦っていた。

何とか助けを求めなければ。

今まで国防総省長官には、尽くしてやってきたのだ。

手となり足となり、彼の思惑通りに動いてきた。

ならばこんな時くらい、自分の役に立ち、助けになってくれて当然だろう。

しかし。

「何故だっ、どうしてだっ?」

狼狽する司令。

何度かけても電話は繋がらなかった。

何度も何度もかけ直し、しつこくしつこくコールすれども繋がらない。

早く出ろ、こちらは緊急事態だというのに!

受話器を握り締めたまま、20回目のコール音がする頃。

「……」

司令は気がついた。

国防総省長官は、己の保身の為に、司令を『切り捨てた』のだという事を。

受話器を落とし、愕然とする司令。

…司令室の外を、逮捕の為にやって来る戦術自衛隊員の足音が近づいてきていた…。