だが、本当に大騒ぎになるのはこれからだった。

マットは無線を通じて告げる。

自分がナノマシン兵器によって危うくディアボにされてしまう所だった事、その実験を行ったのがアメリカと日本の陰謀であり、その陰謀が特殊秘匿保護法案によって極秘裏に行われていた事、そのナノマシン兵器が既に二日前にアメリカを飛び立ち、東アフリカのソマリアへと輸送されている事。

「何も知らなければ、まるで絵空事のような話だろう…しかし知ってしまった以上、放っておく訳にはいかない…」

マットは無線を握り締める。

「俺はこれから戦術自衛隊小川分隊と共に、ソマリアへと向かう。この少ない人数で現地に向かい、何が出来るのかはわからない…既に手遅れかもしれない…しかし、俺は兵士だ。尊敬する父と同じ、レンジャーだ」

フリッツヘルメットに隠れて見えないマットの顔。

その頬を、光るものが伝うのが見えた。

「死んでいった仲間達の為にも、俺は出来る事をやりたい…以上だ」