追撃を振り切り、小川分隊を乗せたジープはひた走る。

「……」

ジープの荷台から、振り返ってフォートベニング基地を見るマット。

その表情は、まるで母国を捨てた亡命者のようだ。

「……別れが辛いか?」

小暮が迷彩服3型の胸ポケットから煙草を取り出しながら言う。

「今ならまだ間に合うかも知れねぇ…武器を捨てて投降しな。そうすりゃ、かつての仲間に捕縛される事にゃなるが、少なくとも敵に回る事はねぇ」

「……」

もう一度、黙考するマット。

彼は自分の無線を手に取った。