カタン・・・コトン・・・・・

電車の中で揺られながら今、私は通学中。
姫川という駅の指南高校に通っている2年生。
特にこれといった才能も何もない。
全体に黒一色でまとめたお気に入りのヘッドホンで音楽をボリュームを最大にして聴きながらいつもと同じ。
つまらなくて退屈な人生を送っている。

だけど最近。少し気になる人が居る。
気になると言っても、「恋愛」の気になるじゃない。
いつも電車で見かける私と同い年くらいの男子。
くるっとした猫っ毛のショートヘアー。
その人はいつも電車から見える青空を窓から見上げている。
雨の時でもー曇りの時でもいつも空を見上げている。
どうしていつも空を見上げているのかー・・・
そこが気になる所だ。
っていうか見た目だけ見たら本当に遊ぶ事しか脳に無くて、空なんてどうでもいいって思っているようなヤンチャな容姿。
本当どうでもいい事なんだけど私は何故か気になってしまう。
自分でもよく分からない・・・。
「姫川ー姫川です」

男性のアナウンスの声を聞くと席を立ち、開いたドアを出、電車から出た。
多分ボリュームを最大にしているのにどうしてアナウンスの声が聞こえているのか。
多分そんな疑問が生まれると思う。
だけど私は他の人達より比較的耳が良い。
だからどれだけうるさい所に居ても小さな音が聞こえてしまう。
でも音だけではなく、人の嘘も見抜けてしまう。
だから私に嘘は通用しない。
でも私だって元から耳が良くなったわけではない。
そんな現象が起きるようになったのはあの日からー・・・。