げっ!!
な、なんなんだコイツらは!?


「ねぇねぇ藤原さんの事“杏ちゃん"って呼んでもいい??」

「藤原さんって頭良いのー?」

「藤原さんって…」


次々にあたしの周りにいるやつらがあたしに質問攻めにしている。
あたし多分、顔引きつっているよ…


あたしはこの後、あははと笑い過ごした。






はぁー…
きついんだけど。
あんなに質問攻めにされたのは初めてだ…

でも…嫌じゃなかった。
むしろ嬉しかった…
この気持ちって一体なんなの??


「退屈…」

今、あたしは授業の真っ最中。
なんで退屈って?


だって…簡単すぎるんだもん。
簡単すぎて眠たくなってきた……。



そしてあたしはいつの間にかスヤスヤと寝てしまった。





ーーー

ーー




『兄さん、あたしには出来ないよ…』


『杏、またお前は諦める。

お前は暗殺者なんだぞ』


『で、でも…』

あたしは小さい頃臆病だった。
いつもいつも…人の後ろに隠れていた。

訓練もそう。
あたしは毎回失敗ばかりだった。


そんなあたしを家族は…




“ダメな子だ"と毎日言われ続けていた。




そんなある日。

父さんから呼び出されてリビングに来た。
なぜかそこには、母さんもいた。


まず、父さんがあたしに向かって喋り始めた。

『杏。お前にはある仕事をやってもらう』


『し…仕事?』


『そうだ仕事だ。
仕事と言っても暗殺の仕事だ』


『ちょっ…あなた!
いくらなんでも杏には無理だわっ!』


母さんは立ち上がりながら父さんに向かって言い放った。



『母さん、別にいいんじゃない?』

と兄さんが言った。
…って、いつリビングに来たのよ。


『尚也は黙ってなさい!』

“はいはい"と兄さんは言うと、スッと消えた。


『まったく…尚也もあなたも何も分かってないわ!!
杏は、暗殺者の素質はないのよ!?

どうしてそれがわからないの!!』

『杏、部屋に戻れ。』


あたしはコクンと頭を縦に動かした。


そこから父さんと母さんが何を話したのかは分からない。







「……ら…藤…藤原さん」


「ん…」


あたしは目をこすりながらうつ伏せになった身体を起こした。

あたしを起こしてくれたのは…桐島っていう人だった。


たしか…この人は……

あたしの隣の席の人だ…。

…てか、なんでクラスの奴等いないの?


「藤原、寝すぎ。

転校初日から授業中寝るなんてな。


お前さ……



バカじゃないの?」


コイツ…
あたしの事“バカ"って言ったよね?



「ごめん。あたし、あんたよりバカじゃないから。」

と言うと、あたしは自分の荷物を持って教室から出て行こうとした。

そしたら…
桐島っていう奴が呼び止めた。


「藤原ってさー…


……やっぱ、いいや」


桐島は“じゃあな"と言うとあたしを教室に残したまま帰っていった。