闇と光


あたしの家は山の中にある。


しかも敷地面積が大きい。



あたしは兄さんと一緒に家の中に入った。




突然兄さんが…

「美紀、いるんだろう? 出てこいよ。」


兄さんがそう言うと…
木から姉さんがストンと降りてきた。


まぁ、姉さんが居るってのは気づいたんだけどね。
いちいち言うのもめんどくさかったし。


「あら、バレてたの? 隠れたつもりだったのになぁ~」

姉さんは“つまんないなー"とか言っている。
あたしの姉さんはたまーに幼稚な行動をする。

本当に姉さんなのか考えた時もある。



「バレバレだ。この俺をみくびるなよ」


「はいはい、みくびってすいませんでしたー」


姉さんは反省してないな。絶対。
そういう所が姉さんらしいから…




あたしは兄さんと姉さんが大嫌いだ。
いつから嫌いになったのかは忘れた…


物心ついた時から嫌いになった。
あたしは兄さんと姉さんには逆らえない。
…てか、一度も逆らった事なんかはない。



「杏、なにボケーっとしてんだよ。」


「ごめん…ちょっと考えごとしてた」



「杏…お前には友達なんて物、作っても意味がないからな。」


「そんな事ぐらい知ってるよ。兄さん」


わかってるよ。
そんな事………
あたしには友達なんていらない。



『杏。お前に友達が出来ても…



お前は友達を殺す。』




友達を殺す………。


本当にあたしは友達を殺すのだろうか…





「杏、今回の仕事どうだった?」


「ぇ……うん。失敗しなかったよ。」


「やっぱり杏はあたし達の自慢の妹だなぁ~」

姉さんはあたしの髪をなでなでしてきた。


「姉さん。あたしはもう子供じゃないからなでなでしないでよ」


“えぇ~"と姉さんは頬を膨らましていた。
ほんとに幼稚すぎる。