「失敗か…」


「杏、失敗したらどうなるか分かっているよな?」


あたしはビクッと身体が震え、後ろを振り向くとそこには兄さんがいた。



「兄さん…どうしたの?」


「ちょっと杏が気になったから来ただけよ。」


「あたしなら大丈夫。失敗なんてしないから」


“そう"と兄さんは言うとあたしの目の前からいなくなった。


「ほんとやめてほしいよ。いきなり現れたり消えたりするの




…あ、来た。」



そこには黒い車が1台止まった。


あの車の中には荒川会社の社長が乗っている。
ある人物から荒川社長を暗殺するようにと依頼された。


「さてと…仕事を始めようかな」

あたしの殺し方は素手で行う。
兄さんと姉さんはいろんな物を使って殺すらしい(どんな物を使うのか教えてくれない)。


あたしは物よりこの素手の方が殺しやすい…なんて思った時がある。
素手で殺すって言っても、実際は首の骨を折るだけ。

5歳からこの殺し方は変わっていない。
兄さんと姉さんからはいろいろ言われたけどね…



ーーガチャ…

車の中から荒川社長がでて来た。
かわいそな社長だな。

自分が今から殺されるって思ってもないのに…
ま、しょうがないか。




おっと…その前にみんなにあたしの暗殺プラン教えてなかったね。

あたしの暗殺プランは

1,荒川社長が車から出てきたら、あたしは荒川社長に近づく。


2,そして隙をみて荒川社長の背後に周り首を折る。


3,それが終わった後周りのSP達も殺す。(そうしないとあたしの顔が見られるから)


…があたしの暗殺プラン。



暗殺プランっていっても結構単純だけど。





ーーー5分後……。

「暗殺終了。

今回の仕事も簡単だったなー…
てか、SP弱すぎ。

あんなに人数多いくせにあたし1人で殺したしさー…」

…って、あたしなんで独り言いってるんだろう…

最近独り言が多くなってきている…
まぁでも…しょうがないか。


だってあたしには“友達"がいないから。



「友達かぁ…友達ってどんな感じなんだろう?」




「友達なんていらないよ、杏。」


「はぁ…兄さん。あたしの後つけないでよね。」


「あははは…つけてなんかないよ? 俺は杏の事が心配だからね♪」


「それがつけてるって言うの! あたしに構わないで」


「それは無理だなぁ~…だって杏は俺の可愛い可愛い妹なんだから。

それより杏。


お前は友達なんて物いらないからな。」



「…っ!…そ、そんなの分かってる!!」


「分かってるなら話が早い…



杏。お前に友達ができても……















お前は友達を殺す。」




「あ、あたしが…友達を殺……す!?」


「あぁ、そうだよ杏。だからお前は友達を作ってもいずれか殺す」


「なんで!! あたしは友達を「殺す」




そう…だよね。

だってあたしは暗殺者。


暗殺一家の次女だから…。



“分かったかい、杏?"と兄さんはあたしの顔を覗き込んだ。


うんとあたしは首を縦にうなずいた。


「分かったならそれでいい。


さてと…杏帰ろうか」




「うん…」





あたしと兄さんは屋根の上を走りながら家に帰って行った。