木と木の間から夕日が落ちていくのが見える。
オレンジとブルーが混ざり合って、神社の景色を切なくさせた…。
杏奈は、昼間よりも夜よりも…この時間の空が1番好き。
遥と一緒に見てるこの空が…。
世界で1番好きな景色。
「杏奈……今日楽しかった…?」
「うん…楽しかったよ」
「そっか……」
「楽しすぎた………」
「うん…」
そのまま会話はなくなった。
遠くに見える夕日が眩しくって…、目開けてられないよ。
足元に伸びる影を見つめながら今日1日を思い返してた。
笑ってばっかりだったな…。
仲間と遊んでる時には見せない表情。
2人じゃなきゃ見れない部分もたくさん見れた。
ドキドキしたりふざけたり…。
遥と付き合いたいってもっともっと感じちゃったよ。
この胸の苦しさとかどうにも出来ないもどかしさは。
無意味な事じゃないよね…?
遥を好きな痛みでしょ…?
「遥…?杏奈ね…知らなかったんだ。……恋って…、こんなにも痛いんだね…」
「どうした…?」
「んー…?ただ思ったからさ……」
「…………」
「恋ってさ…、好きって…。遥にとってどういう意味を持つの?」
還奈さんを好きな遥。
杏奈のしつこい想いが貴方を縛ってるのかもしれない。
でもごめん…、諦め切れない…。
だって杏奈にとっての“好き”は……。
“恋”は………。
生きる事。笑う事。
貴方の側にいる事なんだよ…?