「うーん…頭痛い……」

「わかる、杏奈もめちゃくちゃ痛い…」




諒士の家からの帰り道…。


詩衣と頭を抱えながら帰った。

駅に向かうまでの道のりも会話はほとんどなくて、今日覚えた事を復唱してる。



それは帰り際の事…。

「アン―…、今日覚えた事忘れたらテスト返しの日許さんよ…」

「ちょっと…、何真顔で怖い事言ってんの…?」

「いいから。詩衣と復習しながら帰れ」



琉晴が怖いからってのもあるけど、せっかく教えてもらった事をこぼしたくなくて…、まっすぐ帰る事にした。



あかりと琉晴は諒士の家に泊まる事になってたから、詩衣と遥と3人で歩く駅までの道。

さっきの琉晴との会話を思い出してた。


杏奈はもっと遥の事知らないとダメだよね…。

2人で遊んで話をして。

遥を知る時間が欲しいなって思った。






「期末終わったらまたみんなで遊ぼうよ。打ち上げでカラオケでも行く?」

詩衣が遥に話し掛けるのを後ろから見てた。

どうやったらそんなふうに誘えるのかな?


杏奈もさらっと誘いたいのに…言葉よりも考えちゃって。


遥と遊ぶ度に思うんだ。

今の状況を当たり前に感じちゃいけないって…。

杏奈にとってはその時間がすごく大切な事。



遥が好きな子はたくさんいると思うけど、こんな風に仲良くなれたのはあかりや詩衣の助けもあると思うんだよね…。

だから逃したくない。



遥といれる大切な時間を…。








逃したくないんだ。