今年も残す所あとわずか…。
携帯のカレンダーを見ながら小さく溜め息をついた。


クリスマスが近付いてきた12月の始まり。
周りのカップルはワクワクしながら毎日過ごしてるっていうのに…。






「寂しいー!!彼氏欲しいぃー!」

教室の机を叩きながら詩衣が突っ伏した。

そう…。好きな人はいれど今だ実ってない杏奈と詩衣は、クリスマスっていう恋人達が盛り上がるイベントにいまいち乗り切れない。


相手がいないのにイルミネーションなんて……、何だか見てるだけで切なくなっちゃうよ。



それと理由はもう1つ。クリスマスは…、遥の誕生日。

出来る事ならお祝いしてあげたいし一緒に過ごしたい。

でも遥の事だからまた地元かもしれない…。



「…はぁぁ……」


そう考えるだけでウキウキしてた気持ちもしぼんでいった。






「あかりはクリスマス琉晴と一緒でしょ?」

「えー…うん、まぁ…そういう予定にはなってるけど、アン達と一緒でも…」

「ダメダメ!!それだけは絶対ダメだよ。琉晴だって楽しみにしてるはずだからさ…。あかりは2人で過ごしなね!…ねっ!!」


口をぷぅーって前に出しながら、うんって頷くあかり。
膨れっ面しながらもやっぱりどこか嬉しそう…。


初めてのクリスマスは彼氏と二人で過ごさせてあげたい。

それに邪魔なんてしたらさすがに琉晴に怒られると思う…。



「凪も地元帰っちゃうし、詩衣と2人かなぁ…。」


女2人…、片想い組にとってはこういうイベントは切なくて…。

1人でいると狂おしい程の感情に襲われるんだ。



「諒士に声掛けてみれば?奴きっと暇人だから。」



ニッと笑った隙間からあかりの悪戯な八重歯が見える。

あかりの予想通り諒士は、

「クリスマス開いてる…」


って、ふてくされながらも了承してくれた。