「…ありがとう……」

この言葉しかなかった。


杏奈が遥に伝えたい言葉は……ありがとう。




「ほら…、涙拭け……」


杏奈の顔をティッシュで叩いて笑った。

遥の笑顔を目に焼き付ける様に杏奈も笑った。







「杏奈……」


太陽の光が差し込む車内で…おでこにキスをくれた。




これが本当に……。



最後の…キス……。












車を下りて遥に背を向けた。

見えなくなるまで見送った白のワンボックス……。







「遥…、バイバイ……」












杏奈の世界を変えた遥…。


本当の強さをくれた遥……。







最後はやっぱり…視界が滲んでた。



落ちる涙を……拭きませんでした…。