遥と目が合う。
腕の中に包まれながら窓の外を見つめた。
風が強くて海が叫んでるみたい……。
終わりの時間を知らせるみたいに…、ビューって鳴いてる。
「ちょっと寝る…?」
「…ん……もったいないからもう少し起きてる…」
「じゃあ……」
「………?」
「もう1回……やる?」
「ちょっ……!!」
「…クククッ……杏奈はエロいなー……」
横になる杏奈の髪を撫でながら…優しい瞳で髪にキスをした。
いつもみたいにからかって…。
でも……、いつもとは違う。
遥と初めて1つになれた事。
杏奈の中での夢の終焉。
「杏奈……」
「え……?」
「俺の……ワガママだから…」
ワガママの意味がわからなかった。
遥の言葉の裏側。
「お前は何も悪くない…」
「そんな事な…「…けどさ」」
杏奈の言葉を聞かない。
遥だけが悪い訳じゃない。
杏奈だって……立派な共犯者だよ。
「けどさ……、もし…子供が出来たらさ……俺が責任取って貰ってやるから…」
「……っつ……」
「どんな形でも……お前は幸せになれよ…」
どうしてそんな事ばっかり…。
どうしてそんな事言うの…?
「嘘つき……遥は杏奈の事なんて…好きじゃないもん」
「…ハハッ……嘘じゃねーし…ちゃんと……杏奈の事想ってるよ…」
髪の毛で顔を隠した。
遥は嘘つきだよ…。
杏奈の為に言ってくれた言葉。
だけど…、最後までずるさと優しさがくっついてた。
だって……
その証拠に…1度も唇にキスはくれなかった。
100回体を重ねるよりたった一度のキスが欲しかった…。
でも…遥はそういう人だよね。
そうやって、杏奈の気持ちを食い止めたって……わかってる。

