遥との約束当日…。




タイミングが良いのか悪いのか…。

嵐は仕事の飲み会だった。






秘密…って事に戸惑いを感じたけど、会うのをやめるって選択は出来なかった。


どうしても会いたかった…。






伊原杏奈でいる間に遥に会いたかったんだ……。









電車の中は人が少なくてガランとしてた。

寒い風が電車のスピードと一緒に流れ込んでくる。




お気に入りのコートの襟を立てたら窓ガラスに映る自分が見えた。


あと何分かで遥と会う…。



考えるだけで胸の奥が苦しくなってぎゅって掴まれたような…。

息が止まりそうな気分。










電車を乗り継いで懐かしい駅に到着した。

全体的に変わってない…。


でも、トイレが新しくなったり駅ビルが綺麗になってたり。

杏奈達が居た頃よりも開発された場所に…少し淋しくなった。






思い出の街が変わっていくのは…、取り残された心が痛むよ。

変わったのは杏奈だって同じなのに……。






季節が通り過ぎていくのを強く感じた。