式が終わってから下の階に移動した。


杏奈だけじゃなくて色んな人が泣いてる。








寂しさと、不安と、卒業の喜びと…。


うん、でもやっぱり……寂しさの方が大きいのかもしれない。






ほとんどの人が成人者。


ビールが出たり焼酎が並んだり。

飲めない人の為にソフトドリンクも用意されて軽い軽食まで出されてた。








クラスごとに輪になって飲み物が配られる。


「「卒業おめでとう!!」」



カチンって音が響いて一斉にグラスが鳴った。


担任が卒業証書を渡していって杏奈の番になった時、


「遠いのによく頑張ったね、おめでとう!!」




そう言って、褒めてくれた。


いつも厳しい先生。

口調はきついけど杏奈達生徒の事を想ってだよね…。


もう…、涙腺緩みっぱなし。




他のクラスに散らばった1年の時の友達と喋ってたら、中央にあるテーブルに杏奈の一生天敵とも言える彼が…。








「りゅーせい!!」




振り向いた琉晴に駆け寄ってグラスを合わせた。

琉晴は泣きすぎて赤くなった杏奈の鼻を見て笑ってる。


ぐいって頭を寄せられていつもみたいにぐりぐり押さえられた。



「いたい、いたい゛ー…髪崩れる!琉晴のバカー!!」

「お前は俺にバカなんて言える立場じゃないんじゃー!」



何とか頭に伸びた手を交わして逃げた。

逃げながら見た琉晴は…、本当に楽しそうで。


杏奈をいじめる事を生き甲斐にしてるとしか思えない位。



やっぱり…




この人には逆らえない。


良い意味で…。


でもそんな事言ったら

「お前……ナメとるなー…」


とか、絶対鼻で笑われるから秘密…。