それぞれが席に着いて卒業式が始まった。


静まり返ったホール。

校長先生の話が終わって次は名前を呼ばれる番。


苦手なこの緊張した空気も、迷惑かけた先生達に出来る唯一の恩返しだと思うと背筋が伸びてくる。




生徒1人1人の名前が呼び挙げられて1組から順に立っていった。





「はい…」

照れた声の諒士。

諒士はいつも周りに気を使って皆の事を考えてくれてたよね。

その繊細な心に何度も助けられた…。


「はいっ!!」

やけに大きい声の琉晴。

琉晴に出会って色んな意味で鍛えてもらったよね。

大切な人を守る為には自分も強くならなきゃいけないって言った……琉晴のその言葉で強くなれた。


「はい!!」

元気一杯の凪。

杏奈にとって唯一無二の存在。
凪に出会えて…喜ぶ、楽しむ、笑うの3原則を叩き込まれた。

凪が居なければ、今も…これからの杏奈もないって言い切れるよ。

ありがとう…。


「はい……」

緊張気味なタケの声。

男友達でこんなに心が許せたのはタケだったから…。

杏奈を怒ったりした事もタケの優しさだってわかってる。ありがとう…。本当に。


「はーいっ!」

元気なあかり。

あかりが居るだけでそこに花が咲いたみたいに……わぁって人が集まってくる。

向日葵みたいな子だった。

そんなあかりと友達になれて…、本当に良かったよ。

「はい!」

明るい声の南。

南は最初に友達になったよね。
あの時ドキドキしながら声を掛けたんだよ…。

勇気出して本当に良かったって思う。いつも南の明るさが杏奈の救いになってた。


「は…い……」

泣き声の詩衣。

天然だしおっちょこちょい。
だけど恋には真っ直ぐで…素直な詩衣がとっても大好きだった。

詩衣から女の子の可愛さを学んだよ。



そして……



「はい」

凜と響いた……遥の声。

こんなにも胸を熱くする声は…。

こんなにも切なくなる名前は…。

生涯貴方しか居ないと…。


言い切れる自信がある。