何日も打ち合わせして衣装の型が出来てきた。

今日連れてきてもらったのは隣の駅前にある生地屋アプリ。


生地の多さと安さでいったらこの辺じゃ1番のお店らしい。

今までそんな事すら知らなかったから、アプリを目の前にした瞬間…、

「うっ…わ……」

って、思わず声が出た。




だって…、生地の数は入口だけでも500枚以上はあるかな…。


小物に使えそうな道具もたくさん売ってて、見てるだけで楽しくなってくる。



「俺もあかりに話だけは聞いとったけど…、でかいなー」


今回のショーであかりと琉晴はライバル同士。

あかりは違うメンバーと組んでショーに挑んでる。




あかりのメンバー《陰陽》

このメンバーはとにかく凄いの。


ショー経験者が多くてモデルも経験のある子とか個性的な子を集めてるんだ。


「詩衣ー!アンー!」


声のする方を見たらあかりが手を振りながら駆け寄ってきた。

手には黒い編み目状の生地を持っててぶんぶん振り回してる。



「偶然っ!うちらも生地の買い出し。多いから悩むよねー」


あかりはヘアーショーのスタッフを何度も経験してる。

実践でやる場合、場数を熟してるチーム程アイディアがバシバシ出てくるんだ。



「うちらはだいたい決まったかなー……まっ、でも当日まで秘密。負けないよ!」


ライバルの杏奈達を目の前にして堂々とした宣戦布告。

杏奈達だって負ける気がしないもん…。


勝ち負けじゃないけど精一杯やって1番良かったよって言ってもらいたい。




「うちらだって絶対負けないかんねー!」


店の中で大声を出して笑い合った。