帰り道…、遥が送るって言ってくれた。


ドキドキして、駅までの道を半歩下がって歩いたんだ。
隣を歩いたら顔が見えないから…。

多分、緊張して落ち着かないもん。



「ちょっと寄り道しない?」


真っ直ぐ駅に向かわなくて、連れて行かれたのは駅近くの神社。

12月だからすごく寒くて、その寒さがやけにリアルだった…。



冷たい風が吹いて、鼻の頭がつーんってする。

耳も頬っぺたも、スカートから出た足も冷たくて小さく身震いした。




「杏奈と話したいなぁと思ってさ…。」


遥と2人で真面目に話すのは初めてだった…。


緊張と興奮が混じって、こめかみまで脈を打ってるのがわかる。

あかりみたいな関係じゃないけど、遥に近付きたいって思ってたから…。



嬉しい…。




「何の話しする?恋ばなとかしちゃう?
遥とそういう話しなかったよねー。」


「あー…、うん。俺さぁ……。」


ライターのシュボって音がして遥が煙草に火をつけた。

杏奈のテンションとは裏腹で、辛そうに…、眉間にしわが集まってる。



何…?何で…?





「遥…、どうし…」

「俺…、今は誰とも付き合いたくないんだ。
…好きな奴がいて。

そいつ以外とは付き合うとか考えられねぇ…。」











言葉が…、出なかった。


頷く事すら…、出来なかった。




杏奈が出来た精一杯の事…。


地面を見つめて…、涙を堪えた。








そっか…。何だ、そっか。

1人で浮かれて…馬鹿みたい。

遥は気付いてるから…。



杏奈の気持ち、わかってるから呼び出したんだ。