「モデルは6人使うから。俺らが押したいのはクイックチェンジね!」
ワクワクした瞳で遥が話し出した。
「…クイックチェンジって?」
「ん?あっ、そうか。詩衣もアンも知らんやんな。クイックチェンジ言うんはステージでの衣装変えみたいなもんや。ヘアスタイル、メイク、服装、全て変えてまう事を言うんやで」
ショー経験者の敦が身振り手振りで教えてくれた。
関西出身の敦は杏奈達よりも2歳上。
遥や琉晴は呼び捨てしてるけどさすがに敦って呼ぶには気が引けちゃう。
詩衣とマミと相談してあっくんって呼ぶ事にした。
「へー…、クイックチェンジかぁ……面白そうだね!」
「おい…杏奈。面白そうじゃなくて、面白くするんだよ…俺達で!お前もスタッフの一員になったんだから。……面白くして行こうな」
「…うん!」
キラキラ光る遥の瞳に…、吸い込まれそうな程の強さを感じた。
この人について行きたい…。
そう…、思った。
見る側をいつの間にか世界に引き込むステージ。
まるで…。
遥との恋愛みたいに。
「んじゃ、これで行くから!!」
ペンを器用に回してる遥に視線を移した。
テーマは春夏秋冬。
リーダーの遥がノートに具体的な内容を書き出し始めてる。
「春夏秋冬って言ってもモデルでどう表現出来るかが見せ場になるじゃん?…スタイルに合わせてメイクも変えなくちゃいけないし、お客さんが見ただけで雰囲気を読み取ってくれないとな」
「せやなぁ…。俺らだけわかっとってもしゃぁないしなー…」
「そこでだ!」
ペンをビシッと立てて杏奈達3人の顔を見渡す。
「…頼むよメイクチーム……」

