遥との空気を割るみたいに鳴る携帯。
遥の電話の相手は……
「…あっ……あかりだ…」
悪いなって言われたら頷くしかないよ。
出ないで…なんて言う権利ないもんね。
「おー……うん…うん……、今杏奈と一緒…。あー、じゃぁ今から来いよ」
あかりと会うんだ…。
まだまだ全然足りないのに…。
杏奈は伝えたい事の半分も言えてない。
遥が電話を待つ間これもヤキモチなのか胸が痛む…。
最近の杏奈は…本当にダメなんだ。
ヘアーショーで他の女の子と居るのを見て以来、独占欲が強くなってる。
遥を好きだって思う女の子皆に嫉妬しちゃうよ…。
「あかり今から来るって。ってか、あいつ酒飲んでる?めっちゃテンション高かった」
今までの遥とあかりを見てきたからあの2人が仲良しなのはわかってる…。
でも今は…女友達よりも杏奈を優先して欲しかった…。
そんな事…、口が裂けても……言えない。
「じゃぁ、杏奈戻るね」
胸の中心がギリギリ痛い。
早く遥から離れないとまたワガママになっちゃう…。
遥への好きで…、動けなくなる。
返事も聞かないでドアまで一気に歩いた。
でも…。
男の人の力に敵う訳もなくて、肩を捕まれて遥の方を振り向かされた。
「何で…?あかり来るから帰んの?」
「違うよ、タケと約束あるから………。ごめんね、じゃあ行くね」
遥の瞳を見れば…きっと嘘がつけない。
わかってる…。

