「結構うちの学校の子いるね。」

「あれだよ…、今日回すの慎二だからチケット持ってる子も多いだ。」



久しぶりに凪と会った。
本当は凪も地元に帰るんだけど、予定ではヘアーショーが終わってからみたい。

勉強の為に残ったなんて、凪らしいよね。



「そっか。今日慎ちゃん関係だと結構な人数集まってるんじゃない?」


DJやってる同じ学校の慎二。
クラブで回すのが主なんだけど、今日みたいな大きい箱でもやれちゃう位腕はあるんだ。

今日のチケットも慎ちゃんに良い席取ってもらったしね。




「…とりあえず暑いし入ろ。」

額を拭いながら扉を開けたらひんやりとした空気が肌に触れた。

会場内は熱い照明を受けるモデルの為に適温に設定されて、舞台袖ではスタッフらしき人が慌ただしく動いてた。


始まる前の緊張した空気が杏奈達まで伝わってきて…。

変にドキドキしちゃう。




「照明確認できてる?!」

「モデルのスタンバイOKでーす!」

「ちょっ、早く早く!」


慎ちゃんが取ってくれた席は最前列。
緊迫した声が聞こえて、裏側の状況が手に取るようにわかっちゃう。


「すごい凪がドキドキしちゃうだけど…。」

「わかる…杏奈も心臓バクバク鳴ってるもん。」




凪と舞台袖を見つめながら胸を押さえて深呼吸した時…。



静かに照明が落ちてショーがスタートした。