SPRING ★ SPRING ★ SPRING

それにしても、
こんな後処理を必要とする夢ってないよな。


脱いだ制服を床に広げ
テープの粘着面でしつこい草の欠片をからめ取る。


「あら、裕吾帰ってたの。」


突然開いた扉から、躊躇なく踏み込んで来た母親が
抱えた洗濯物の向こうから声をかけてくる。


「うん。」


今朝インターホンを押したと言う結衣の事を聞かれるのではないかと少し身構えて
手を止めず、顔を上げずに応えた。


「何?その服どうしたのよ?」


が、普通に考えてこっちだよな。


今朝の出来事よりもよほど気になる
草だらけの制服が目の前に鎮座しているんだからしかたがない。


「土手に行って来たから汚れた。」


短く応えると
手荷物をタンスにしまい終えた母の手が俺の頭に伸びてきて
驚いて顔を見上げる。


「髪の毛に草つけて帰ってくるなんて
ケアレスなのか、斬新な若者ファッションなのか50代目前のおばちゃんには判断しがたいけど
どちらにしろ、17の我が息子にはしてほしくないスタイルではあるわね。」


そう言って
摘んだ草の欠片を俺に差し出す。