「渋沢氏、何を見ているのですか?」


バネからの短いくせに半分は意味の分からない伝言に
宇宙?と首をひねりながらも自然と頬がゆるんでいた俺の様子に気づいた古川が声をかけてくると
こちらに気づかずふざけあっていた篠原と墨田も俺を振り返った。


「ゆう、何だ?その紙。」


「何々?ラブレター?
宇宙を見に行こうって、まじロマンチックじゃん?」


机の陰で広げていた紙に気づいた篠原が指さすと
墨田が素早く俺の手から奪いみなに見せながら言う。


「土手でロケットでも打ち上げる気化よ?」


「これは女性からの誘いなのですかね?
だとしたら渋沢氏は本当にモテモテなのですね。」


古川もそれをのぞき込み3人で顔を見合わせ、
せわしなく話し合っている。


ただ、伊藤だけがばつが悪そうに顔をしかめ
3人に隠れて俺に向かって小さく手をあわせてきたから
俺の方が恐縮してしまった。


「俺、もう帰るわ。」


4人を見ながらなるべく柔らかな響きでそう言って立ち上がる。


「ゆう、土手に行くのか?
いいのかよ、保澄の事は。
これ、春日だろ?」