「接点?
確かに、クラスが一緒ってくらいだな。
それがないと渋沢は私と気があわないと言うのか?」


俺の言葉に
と言って、本当に不思議そうな顔で首を傾げるバネには
わざとらしさなんて微塵も見いだせない。


「はあ、もう何でもいいや。
何だかしらないけどお前は俺と気があう気がするんだな?
だったらもういいよ、バネ。
これでいいんだろ?」


と、小さな抵抗はバネの天然物の力に負けて
投げやりと言うよりいっそすがすがしい気分で答えた。


「うん、渋沢にバネと呼ばれれば満足だ。
あ、そろそろ学校へ行かないか?
いつもよりだいぶ遅くなってしまったな。
もうすぐ7時半だ。」


と、俺の腕時計をのぞき見てバネは言った。


つられて時計を見ると
時刻は7時25分。


ここから学校までは
歩いて20分、自転車で10分弱。


ホームルームは8時20から。


まだまだ余裕の時間だし
そもそも通学した所でまともに授業を受けるわけではないのだから
バネが遅刻した所でたいした問題にも思えないけど
こいつを置いて自転車で先に行く気にはなれなかった。


「おい、バネ待てよ。
後ろ乗せてやるから制服の草はらえ。」