紺色の制服一面に草のかけらをつけて
こちらを見つめ、疑わしげに目を細める姿は
制服がだばだばなくらい小さくて細いくせに、警戒と威嚇をたたえたねこ科の猛獣のようだ。


「え?
あ、そう言えば昨日言ってたな。
それ何なんだよ。」


俺よりよほど頭の心配が必要そうな春日に
面と向かってバカ呼ばわりされれば腹も立つから冷たく答えたが、
にっと笑って彼女は言った。


「昨日渋沢と話した時に思いついたんだ。
私の名前は春日泉と言うから名詞のSPRINGの意味の内春と泉はあるけどバネが足りないだろ?
だから足りない分を渋沢が埋めるんだ。
な?」


と、いたずらを思いついた小学生のような顔を見せる。


「何で俺が。」


はっきり言って春日の仕草や言葉全てに人を動かす流れを作る力があるんじゃないかと言うほどに
このまま彼女のペースに乗りそうな自分がいたけど
あえてあらがって発した言葉には小学生をからかう中学生のような、背伸びしたわりに幼い子供っぽい響きがあった。


「それはな
渋沢とは気があうと思うから。」


また昨日と同じ断言するような言い方。


「何でお前と俺の気が合うんだよ。
俺ら接点全くないじゃん。」