* * *


「なら、俺はあっちの席にいるから……話が終わったら呼んで」



そう言って和也は、席を離れた。


真子がこの間のことを謝りたいからと、近所の喫茶店に呼び出された。



「栞菜ちゃんに直くん。この前は、本当にごめんなさい」



真子は、ぺこっと頭を下げた。



「あたしは、別にいいけど……」



「直くん……いっぱい傷つけてごめん。ずっとずっとごめん」



顔を上げた真子は、心から直に謝っている。



「……もういいよ。もういいんだよ、真子」



そして、直は優しく微笑んでいた。

直は真子のことが本当に好きだったんだと思った。



「でも、真子。あの話は本当じゃないよね?」



「え、あの話?あ、大丈夫だよ。私は、かずくんのことが大好きだから」



そして、にこっと笑った。頬をピンク色に染めて、とても可愛らしい笑顔だった。