四季。死に手向ける夏





肌を焦がす陽射しが、濃いグレーの墓石を煌めかせる。


四季の葬儀の日に偶然聞いた皆川家のお墓のある青梅の霊園に、私はひとり来ていた。


山1つが墓地だからこの暑い中、探すのに苦労した。

下から探したのに、頂上にあるとかベタ過ぎるオチだと思う。


夏の陽に萌えて揺れる木々の梢が、熱に打たれた身体を癒す。

「四季、ここ暑くない?虫も多そうだし夜になったらきっと怖いよ」

四季の名前の彫られた墓石の前で膝を丸めて座り込む。

返ってこない返事に耳を澄ませると、額に汗が滲むのを感じた。

姿の見えない鳥の声が聞こえる。


ドライフラワーの花束を墓前に供え、シャネルのココマークがポイントになったバッグの中から、ここに来る途中のコンビニで買った線香と、淡い桃色の封筒を取り出す。

言葉を詰め込み過ぎて膨らんだそれは、辛気臭いこの場所では少し浮いていた。