四季。死に手向ける夏






こんなことになるならもっと話をすれば良かった。

あの日、どうして電話を切っちゃったのか後悔してる。

あんたの顔を見るまでずっと回線で繋がっていたら、四季の生きた未来があったのかもって思うと、涙が止まらないよ。


ねぇ四季、教えて。

どうして死んじゃったの?


四季の観る未来には、一欠片の幸せも映ってなかった?

本当に死にたいって、思ってた?


ちょっとした気紛れで死なれたら、遺されたこっちはたまんないよ。


こんな手紙書かなきゃいけない私の気持ち、あんたにはわからないよね。



お葬式の時、遺族側の席で平良くんの姿を見付けたよ。


平良くん、いつもの仏頂面で焼香に来た人の列を眺めてた。

涙なんて影も見せずに。

心ここに在らずって感じで、黒い波に視線だけ預けてた。