空を仰ぐと仲間とはぐれたひとつの積雲が聡明な蒼を泳いでいた。 焦りを知らない自由な白を眺めていると、やわらかな熱を帯びた南風が、木々をすり抜けてわたしを撫でた。 湿気ったそれを不思議と不快に思わなかった。 風につられた煙が、少し角度を変えて流れていく。 雲には届かない。 手向けた想いが吸い込まれて消えた。 緑色の木霊が四季の巡りを震わせる。 目を閉じて棄てられた世界に、こころごと明け渡して願う。 ねぇ、四季。 どこかで聴いてる? あなたの笑顔に、私は逢いたい。