まだ知らない愛。


「しっかり掴まっとけよ」
って言うから腰に腕を回すと私から瞬さんに
抱きつくみたいになって恥ずかしい。
バイクに乗って感じる風は
火照る頬を冷ましてくれて気持ちよかった。


瞬さんは私の家の前で静かにバイクを止める。
あぁ、もう家か…
ちょっと寂しいな…。
「お前さ」
メットを脱いだ瞬さんは静かに私に聞いてきた

「なんで夜になったら街に行くんだ?」
「…」
予想外の質問をされた。
答えなきゃいけないのだろうか?
いや、言えない。
言ってしまうと私は嫌われてしまう。
何も言えない。
私のメットも外しながら瞬さんは言った。
「夜の街には行くな。」
…ほら、やっぱりそう言われると思った。
嫌だ…。私の居場所を否定される。
「なんでよ…」