まだ知らない愛。

私もその一人で椅子から立ち上がり花火を見つめた。
「すごい…」
初めて見る花火がこんなにも綺麗で私の隣で私の手を握りしてめくれる人と見ることができるなんて夢にも思わなかった。
どんどん音を立てて上がっては色とりどりに咲き、そして儚く散っていく。
「桜」
繋がれた手に少し力を込めて瞬さんが言う。
「一瞬の輝きのために生きるって、綺麗だと思わねぇか?」
その横顔は暗くてよく見えなかったけど花火の光によって見えたその横顔は輝いていて瞳は力強く、自信に満ち溢れた私の大好きな瞳だった。
「そうだね」
「来年も一緒に見ような」
「うん」

強く握られた手を私も握り返した。
ゆっくり近づいてくる瞬さんの顔を見つめて
瞬さんの視線が唇に向けたときそれを合図に私も目を閉じる。

シルエットで重なる二人の背景には大きな花が咲いていた…。