まだ知らない愛。

首を振る私に瞬さんは優しく笑う。
「じゃあ、前を向け。お前のことを悪く言う奴がいても、お前のことをちゃんと見てくれる奴がいるかもしれないだろ?」

だから、前を向いてないと逆に失礼だろ?

その言葉に私は前を向いた。
私が俯いて私をちゃんと見てくれる人を拒絶したら何も始まらない。
私が壁を作ったら誰も私を見てくれるわけが無い。
だから、私のことを悪く言う人がいても私はしっかり前を向くことにした。
瞬さんの手は私の肩を抱いたまま頭を撫でる。
その手は、それでいい…と言っていた。