まだ知らない愛。

壊れてたのね…。前の瞬に会えた気がして嬉しくて泣いてたの」
「綾芽さん…」
私は過去の瞬さんを知らない。
ただ、目の前に友達が苦しんでいたら私は手を差し延べると思う。
それと同じで瞬さんも綾芽さんに手を差し伸べたんだよね?
奏多さんに頼まれたからじゃないはず。
瞬さんは優しい人だから…。
「ごめんなさい。意地悪言って」
申し訳なさそうな声に顔を上げるとやっぱりそこには申し訳なさそうな顔があった。
「いえ…私も瞬さんから二年前のこと、聞きました」
少し瞳が揺れ、懐かしいように遠くを見る。