まだ知らない愛。

私にそんなことが出来るだろうか？
きっと綾芽さんが言ったキスをしたようなあの言葉は私へのちょっとした嫌がらせ。
「まだ綾芽さんは、奏多さんが好きですか？」
「…好きよ、あの人は私の人生の中で一番大切
な人なの」

綾芽さんを命懸けで助けた奏多さんを超える人はいないだろう。
それがたとえ、瞬さんだとしても。
でも、苦しむ綾芽さんを見守り、傍に居た瞬さんに恋心を抱いた綾芽さん。
瞬さんへの想いは一時だったとしてもこの世にはいない奏多さんへの想いは永遠だと、綾芽さんは言った。

「さっき瞬にね、お前の気持ちに気づいてやれなくてごめんって謝られちゃった」
「え？」
「馬鹿みたいに真剣な顔してさ。お前はもう一人でも大丈夫だ。でも、今の俺には好きで仕方ねぇ、守りてぇ奴がいるって」
玄関に瞬さんがいなかったのはそれを言うため？
それで綾芽さんは泣いてたの？

「久々に見たよ、瞬のあんな目。」
綾芽さんが懐かしそうに言った。
「私が壊れてたのに…いつの間にか瞬のほうが