まだ知らない愛。

「あ、私職員室に呼び出されてたんだ!」
「そうなの?」
「うん!ちょっと待っててね!」
綾芽さんのもとへと走る。
何を話すの?何を言うの?
特に理由もないままスタイルの良いその後ろ姿を追いかける。
「綾芽さん!」
振り返った綾芽さんは、なぜか泣いていて。
風になびく髪がその涙をより綺麗に見せる。
「えっと…その…」
「なんであなたなの…?」
「え?」
「瞬は本当に私のこと…、必要じゃなくなったの?」
少し離れた所で涙を流す綾芽さん。
「どうして…嘘をついたんですか?」
「…」
「翔とは、付き合ってないんでしょう…?」
「…好きだからよ」
真っ直ぐ私の目を見て言う。
「瞬が好きだからよ」
その言葉と真剣な瞳は心から瞬さんを好きだと言っていて。
「じゃぁ…どうして別れ話なんて…」
「瞬が私のことを見てないのは最初から分かってた」
「…」
「瞬はきっと責任を感じてる」