まだ知らない愛。

翔は私のことを好きだと言った。
もし、好きな人に思わずキスをしてしまって次の日から好きな人に避けられたら悲しいし苦しいと思う。
私だったらそう思うから、翔に申し訳なくなった。

「桜ちゃん！大丈夫？」
玄関に着くなり駆け寄ってくる葵さん。
「へ？」
「昨日、真藤翔に…」
あぁ、その言葉に納得して軽く頷いた私をホッとしたような顔で見る。
「あれ？瞬さん…またいないの？」
玄関で待ってろという割には瞬さんのほうがいない気がする。
「HRが終わる前にどっか行った」
靴を履き替えている昴さんが言った。
また…綾芽さんのところ…？
その時、渡り廊下を歩いている綾芽さんが少しだけ視界に入った。
葵さんたちからしたら真反対なのでそれに気づかない。
綾芽さんが一人でいるので瞬さんは綾芽さんに会いに行ったのではないことが分かった。