「みんなよかったよね、他の子達も。撮影別だった子達もすごくはまってた」
「うん、でもやっぱり、ISAKIさんは目立ってたよ。最初、ISAKIさんしか目に入らなかった」
宗広さんの横顔を見ると、酷くまじめな顔をしていた。
彼は、いったいどんな気持ちでその言葉を発しているのだろう。
「気持ち悪いと思ったかな?」
「ううん、全然。むしろ、嬉しい」
FlowerGardenコレクションは、FlowerGardenのモデル達が自身を魅せるために全力を出す仕事だ。
その中で、私を見てもらえたことが、嬉しかった。
「宗広さんは凄いね、私を喜ばせる言葉を知ってる」
「本当に? それは光栄だ」
こうやって、男の人と出かけるのはいつぶりだろう。仕事に夢中になりすぎて、最近ではなかったような気がする。
「さ、着いた。ここの魚料理が美味しいんだ」
とあるレストランの駐車場に車を停めた宗広さん。高級感漂う雰囲気に、少し気後れする。
「あんまりこういうところ来ないの」
「へえ、そうなんだ。意外。でも、こういうところなら、スタッフがしっかりしているから」
きっと、顔が知られている私に気を使ってくれたんだと悟った。そんなさりげない優しさが、大人だと感じた。
「ありがとうございます。でも私は一介のモデルだし、そんなにゴシップのネタにはされないんですよ」
「そんなこと言って。伊咲さんは目立つんだから、自覚しなきゃ」
確かにこの身長だから、普通の人に混ざると、目立つことはこの上ない。
いつも仕事場で、背の高い人達に囲まれているものだから意識しないだけだ。


