お父さんに怒られちゃうかも知れないけど、あたしは自分で全てカタを付けたいの。
だから、なるべくなら警察の力なんて借りたくなかった。

それでも借りちゃうのは多分、まだまだ自分に甘い証拠。



「お父さんごめんなさい」



あたしはそう呟くと、黒のレザーのシークレットブーツを履いて夜の街に出た。












街に出ると、あたしは人の波に逆らうように歩いて廃虚ストリートに向かう。
雷王のたまり場のある廃虚ストリートは、最奥が狼龍の倉庫だった。



「この道、久々だな」



暗い、外灯の一本もないストリート道を歩きながらポツリと呟いてみる。
総長時代も通ったし、憐と出会ったのだってその廃虚ストリートだった。
それに、龍雅達影籠に会ったのも此処だった。

そう考えてみると、この道は思い出だらけだ。


そんな事を考えている内に、雷王の倉庫の目の前まで来ていた。
久々だけど大丈夫かな…なんて、どーでもいい事を考えてみる。
ただの現実逃避だけど。



「まぁ、始まっちゃえばなんでもいっか」



フワリ、とこの場に合わない笑みを浮かべてみる。
そして、あたしは騒がしい雷王の倉庫に足を進めた。