そんな影籠の戦いを見ていて、あたしの心は一気に満たされた。


空っぽだった心の中に影籠の感情が染みてきた。

仲間を守りたい
仲間の為に拳を振るう


そんな影籠に、あたしは満たされた。



心が温かくなった。

だからかも知れない。
いつの間にか、心の中のモヤモヤがスゥーッと消えていくのが分かった。








「影籠なら、任せられるよね…柚稀ゆずき」



あたしは消えそうな声でそう呟いた。


それからあたしは、ずっと、ボーッと影籠の喧嘩を見ていた。





だから、喧嘩を終えてこっちに来る影籠の人たちに気付くのが遅くなったんだ。



「お前、誰だ」