「帝は言われたことねぇだろーが、狂蝶は言われるんだ。

狂蝶も1人の人間なのにな。
でも、狂蝶は見かけだけで人を判断しねぇし、粗末にも扱わねぇ
あったけぇ人間だ。

そんな奴がこっちに居てくれて良かったよ。


でもな、帝」



お父さんはそう言うと、今まで前を見ていた顔をあたしの方に向けた。



「なに?」



「お前は狂蝶みたいな強さじゃねぇ。
見掛け上の強さ、だろ?」



そう言うお父さんに、あたしは動揺を隠せずにいた。
やっぱり、お父さんには見抜かれてたんだ…。



「確かにお前は強ぇ。
でもな、その強さの中にお前は弱さもある。

だから俺は、お前が心配なんだ。
影籠と関わるなら、お前はいずれ闇蝶を見せる事になるだろうからな」



そう言ってお父さんは、あたしの頭を愛しそうに撫でた。