あたしはあの日から、ずっと心の中のモヤモヤが消えない。
だから、そのモヤモヤをかき消す為に拳を再び赤に染めてるんだ。
一回は止めた喧嘩に再び染まったの。
「――……―――」
何処かの倉庫の前まで来ると、中から人を殴る音や怒声が聞こえてきた。
ずっと、身近に感じていたあの音だ。
あたしは敷地内に入り込み、倉庫の中を覗き込んだ。
「…っ、影籠…」
あたしは、中で戦ってる人たちを見て分かった。
ずっとずっと、影籠の存在は気にはしていた。
でも、危害を加える暴走族じゃない事は判っていたから何もしなかった。
あたし達狼龍がなくなってから全国No.1に上り詰めてきた勢いのある影籠。
「やっぱ、強い…」
圧倒的な強さで相手を押してる影籠。