たっちゃんは影籠の初代総長で、影籠の創設者なんだ。
普段は全然頼りがいがないけど、いざというときには驚くぐらい頼りになるんだよね。
「それ、酷くねぇか?」
たっちゃんはそう言うと、ゆっくりとこっちにやって来た黒塗りの車から出てきたスーツ姿の人の方に向かった。
全く、たっちゃんは変わんないな…。
「夕ー!!
帝が苛めるー」
「竜弥がわりぃんだろ?」
そう言ってたっちゃんを慰めるスーツの人は、あたしのお父さん。
お父さんは、裏の業界ではけっこう有名な水無月組の組長なんだ。
そんで、あたしはその水無月組の令嬢。
「お前等ひでぇよ。
せっかく、1人で来てやったのに…」
「まだ言うかっ!」
あたしはまだぐずぐずしてるたっちゃんにそう言った。

