「……帝」
あたしはその声に気付いてその声の方に視線を向けた。
「まさか此処に帝が来るとはな」
そう言ったのは、パトカーから出てきたスーツ姿の署長さん。
「たまたま、よ」
あたしはそう言うと、その署長から視線を外した。
「せっかく他の連中を連れて来ずに来てやったのに、それはねぇだろ?」
署長はそう言うと、あたしに抱き着いてきた。
「ちょっとたっちゃん!!
抱き着かないでよ」
あたしはそう言いながら抱き着いてきた署長こと、たっちゃんを引き離した。
「別にイーだろ?
情報与えてる訳だし」
「じゃあ、抱き着かないで。
たっちゃんに抱き着かれると動きにくいの」
あたしは、大人のくせに拗ねてるたっちゃんにそう言った。

