「あたし……」



「…どーしたの?」



「憐が居ないと自分を失っちゃう。
憐が隣に居なきゃ普通じゃ居られないよ」



ギュッと自分を抱き、気持ちを鎮めるために憐の名前を心の中でずっと呼び続ける。

憐、助けて。
あたしの隣に来て。
『大丈夫』って、そう言って。

あたし、もう大切な人を失うのが怖いよ……。



「もう、誰もあたしの元から居なくならないで……!」



「僕たちは居なくならないよ。ずっと帝のそばにいる。
ずっとずっと、帝と一緒にいる。
だから、僕たちに頼って来てもいいんだよ」



俯き、身体を抱いていたあたしは、湊の言葉に顔を上げた。
そしてあたしの目に飛び込んできた湊の目は、物凄く真剣で優しさに富んでいた。



「みな、と……」



あたしと目が合った湊は、ニコリと微笑んであたしを優しく抱き竦めた。



「僕たちだって帝を救いたいんだ。
先代も、憐って人も、僕たちも、みんなみんな帝が大好きだから助けたいんだ。
だから、1人でなんでも抱えちゃダメ。少しは僕たちにも背負わせて?

だって、僕たちはもう"仲間"なんだからさ」



そう言ってくれた湊に、あたしは溢れる涙を止めることは出来なかった。
ドンドン流れてく涙。
それに比例してあたしの心の中に渦巻く安堵と安心、不安……信頼。

声を上げて泣くあたしを、湊はなにも言わずにそっと肩を貸してくれた。
あたしの気の済むまでずっとそうしてくれた。


……あたし、1人じゃないんだね。
憐もいて、影籠もいて、お父さん達が居る。
柚稀だって日向だっている。

だからもう、迷わない。
あたし、亜邪と……泉崎と闘う。

だから、もう大切な人を失う喪失感に負けない。
みんなは絶対失わない。
あたしは、闘う。