「そんな事ないだろ。
帝はちゃんと憐の事を知ってる。
バカみたいに強くてバカみたいに仲間想いの憐をちゃんと知ってるだろ」



そう言うお父さんに、あたしは首を横に振った。



「…憐はな、一緒にいてやれない分影でお前を助けようとしてんだ。
泉崎の事も、亜邪の事も…帝に関わる事全てをな」



「…っ」



お父さんから聞かされる憐の行動に、あたしはどうしたらいいのか分からなくなった。
どうしてそこまであたしの為に動けるのか、自分を犠牲にしてまであたしを助けようとしてくれるのか……
憐の考えてる事がわからないよ。



「あ、たし…」



溢れ出る涙を堪えながら、あたしは下げていた頭を上げてお父さんを見た。



「ん?」



お父さんは、優しく微笑んで、あたしの言葉を待っていてくれる。



「これから…どーしたらいいの?」



もう、何をしたらいいのか分からなくなった。
柚稀の為、日向の為、狼龍の為だって思ってきた事が全部自己満足なんじゃないかって……
全部自分の為なんじゃないかって思って、分からなくなった。