「ならいい」
龍雅は満足気にそう言うと、あたしの頭をポンッと撫でてきた。
…なんだろう。
龍雅に頭撫でられると不思議と落ち着く。
まぁ、憐に撫でられても落ち着くんだけど。
そして水無月の家に着くと、あたし達は中に入った。
中に入ると、組員に居間に行くように言われたからあたし達は居間に向かった。
居間に入ると、影籠と狼龍の歴代の総長が勢ぞろい。
そして、先代達はあたし達を見ると、座るように言ってきた。
だから、あたし達は横並びに座った。
「早速だが本題に移ろう。
龍雅、帝の過去は聞いたな?」
目の前に座るお父さんが真剣な面持ちで龍雅にそう聞いた。
「全てでは無いですけどまぁ、大体」
龍雅がそう言えば、お父さんは頷いた。
そして、あたしを見た。
「辛くなったら帝、席を外してもいいからな」
「うん」
優しいいつものお父さんにそう言って頷けば、お父さんも頷いて再び真剣な面持ちになった。
これから全部、龍雅達に話すんだ…。
「まず、俺たち狼龍と影籠は昔提携関係にあったのは陵から聞いてるな?」
「はい」
お父さんの問いに答えた疾風。
それに頷いたお父さん。
「なら判るだろーが、帝は先代の宝だ。
俺たちが我が子の様に育ててきたと言っても過言じゃない。
そんな帝が、だ。亜邪と泉崎によって人生を狂わされた。
それを見越してこれから話す事を受け入れろ」
そう言ったのは、龍雅達の先代の影籠の初代のたっちゃん。
たっちゃん、真剣な面持ちだと格好良いのにな…。
なんだかもったいないよね。