陵さんに言われ、あたし達は水無月の家に向かう。

その道中、ギャーギャー騒ぐ昂夜と湊。
相変わらずの2人に、あたしは心が救われた。

颯哉と疾風は神妙な面持ちで話し合ったりしてる。
龍雅に至ってはあたしの隣で腕組みをして難しい顔をしてる。

龍雅に渡されたあの紙、なにが書かれてたんだろう。
あたしのにはみんなから"我を忘れるべからず"と書かれていた。
多分、我を忘れて暴れるなって事だと思う。


亜邪の件で、柚稀の敵は絶対とるんだから。
泉崎では狼龍と日向の敵。
それまでは多分、あたしはこの手を赤に染める。



「…帝」



ずっしりとした重い声であたしを呼ぶ龍雅。



「なに?」



「俺たちから逃れられると思うなよ」



「…え」



前を向きながら言う龍雅のその言葉。
いい意味にも悪い意味にも捉えられるから不思議だ。

しかも、横顔が真剣で…目を逸らしたくなった。
逸らさないけど。



「なにがあっても俺から離れるな。
つーか、逃がさねぇよ」



あたしに顔を向けてそう言った龍雅は、ニヤリと笑った。
そんな龍雅の顔に、あたしは顔を赤らめた。

だから、不意打ちはヤバいんだって。



「……逃げないよ」



龍雅から顔を背け、地面を見ながらそう呟くように言った。
だって、龍雅から逃げたら憐に会えなくなるかも知れないから。
もし、憐に会える可能性が高いなら離れない。