あたしがそう言うと、訳の分からないと言いたそうな顔であたしを見てきた。


あたしだって、それは分からない。
先代に言われた事だから。

あたしはそんな影籠さん達に笑みを浮かべると



「じゃあ、あたし帰るね。

これ以上此処に居たら警察に捕まっちゃうしね」



そう言って、敷地の外に足を進めた。

だけど、そんなあたしを引き止めた総長さん。



「ちょっと待て」



そんな声を聞いて、あたしは足を止めて振り返った。



「お前の名前は?」



「水無月 帝。
貴方は?」



「俺は如月 龍雅だ」



如月 龍雅、か…。
ぴったりな名前だ。



「良い名前だね」



あたしが微笑みながらそう言うと、龍雅は優しい顔になった。