「ったく、しょーがねぇな。
帝は一度言い出したら止まらねぇもんな」



呆れた様に笑いながらそう言うたっちゃん。
そんなたっちゃんのおかげで、砕けた空気が一気に部屋中に広がった。
まぁ、張り詰めた空気もたっちゃんが創り出したんだけどね。



「ありがとう」



あたしがそう言えば、たっちゃんは亜邪の情報をスラスラと述べ出した。



「亜邪は今のところこの辺じゃ最大の蛇道グループだな。
泉崎とも多少の繋がりがあるみてぇだし。

まぁ…大体その半数が狼龍に妬みを持つ奴らで、残りが…他の奴かな」



最後の言葉を言う時のたっちゃんの顔、一瞬だけど歪んだ気がした。

なんでだか分からないけど。



「残りの半数が妬みを持つ人って?」



「帝は知らなくていい。
アイツもそれを望んでる」



あたしの問いかけに答えたお父さんは、遠い目をしていた。

聞かれたくない、のかな…。
でも、あんな大人数の亜邪の半数が妬む1人の人って…どれだけ凄いんだろう。
妬みを買うって事はそれなりのリスクを背負うって事なのに。



「…分かった」



あたしの返事を聞いたお父さん達は優しく微笑むと、また急に真剣な顔付きになった。

此処からが重要ってワケね。



「それから帝、明日からお前は動きを見せるな」



「…え?」



「一気に潰されるぞ?
亜邪は泉崎も絡んでくるから慎重に事を進めるんだ。
泉崎を殺る時は組も動かす」



真剣に、それでいて顔の表情を一つも動かさずに言ったお父さん。
そんなお父さんに、事の重大さが分かった。

コレ、あたし1人じゃどーしようもできないんだ…。