それはきっと、私には一生かかってもわからないことなんだろう。
ふと、横を見ると窓辺の席に座っている派森は空を見ていた。
私の場所からは派森の横顔が見える。
その横顔が何故だか泣いているようにみえるのは私だけだろうか?
すると派森は私が見ていたことに気付いたのか振り返り私を見た。
どうしたのだろう?と私も派森を見つめ返す。
すると派森は綺麗な形をした口を動かした。
「どうして悲しみがあると思う?」
その口から発しられた言葉の意味を理解するのに時間はかからなかった。
「幸せがあるからだよ。」
派森がしてきた質問は私がいつも考えてること。
だから答えるのにも時間はかからない。
派森は少し驚いた顔をして静かに笑った
その笑顔に胸が苦しくなった。
「そうだな。」
つぶやくように派森は言うとまたいつものように前を向いた。
そんな派森を私は見つめれる限り見つめていた

